疾患
感染症 (29)
1.
敗血症
┗ 敗血症の初期治療
┗ ショックの初期診断アルゴリズム
┗ 敗血症における抗生剤の選択
┗ NEWSの判断基準
┗ qSOFA
┗ 敗血症の診断基準
┗ 努力性呼吸
2.
髄膜炎
┗ 細菌性髄膜炎
┗ 無菌性髄膜炎
┗ IgG index
3.
Toxic Shock Syndrome
4.
急性喉頭蓋炎
5.
深頸部感染
6.
肺炎
┗ 市中肺炎
┗ 院内肺炎
┗ 医療・介護関連肺炎
┗ 誤嚥性肺炎
┗ マイコプラズマ肺炎
┗ レジオネラ肺炎
┗ 市中肺炎の鑑別
┗ A-Drop
8.
尿路感染症
9.
感染性心内膜炎
┗ 修正Duke診断基準
10.
腸腰筋膿瘍
11.
蜂窩織炎
12.
壊死性筋膜炎
13.
丹毒
14.
C.difficile感染症
15.
腸管出血性大腸菌
16.
サルモネラ感染症
17.
特発性細菌性腹膜炎
18.
帯状疱疹
19.
伝染性単核球症
20.
HIV感染症
21.
パルボウイルスB19(伝染性紅斑)
21.
ウイルス性関節炎
22.
マラリア
22.
単純ヘルペス
22.
麻疹
23.
風疹
25.
結核
┗ 肺外結核
┗ 結核性頸部リンパ節炎
26.
発熱性好中球減少症
┗ MASCCスコア
30.
淋菌性関節炎
40.
腎機能低下時の抗生剤投与量の調節
単純ヘルペス
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・ヘルペスウイルス科に属し神経細胞に潜伏感染する2本鎖DNAウイルス
・HSV-1は三叉神経節に、HSV-2は脊髄後根神経節(特に仙骨神経節)に潜伏感染しやすい
・疲労、ストレスなどにより再活性化する
【症状】
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・初発感染型、非初感染初発型(潜伏感染していたが発症は初発)、再発型の3つに区分される
(臨床病形)
脳炎 精神症状が66%で認められる。他、発熱 意識障害。無治療の場合,致死率は70~90%であり、抗ヘルペスウイルス剤を使用しても10~20%が死に至り、2/3 に中等度〜重度の後遺症が残る
歯肉口内炎 小児で生じる 口腔粘膜、舌、口唇にびらん、潰瘍が多発
咽頭扁桃炎 咽喉頭の広い領域に多発する水泡、白苔。アフタ、潰瘍、粘膜疹による激しい咽頭痛
口唇ヘルペス 最も一般的なHSV-1no再活性化による感染症 口唇周囲に紅斑、小水疱の出現を繰り返す 搔痒や違和感などの前駆症状から始まる
カポジ水痘様発疹症 皮疹の面積が大きい、発熱などの全身症状、細菌の二次感染などがあれば入院治療を推奨
性器ヘルペス 初発型は性感染症の一種 陰部潰瘍を生じる
臀部ヘルペス 高齢者の臀部に小水疱の出現を繰り返すもの
ヘルペス性瘭疽 手指の外傷に接触感染したもの
【診断】
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Tzanck試験 巨細胞を検出
蛍光抗体法 ウイルス抗原を検出
抗HSV抗体(EIA法) IgMは発症7日以降にならないと陽性化しないことに注意
【治療】
・初感染後では潜伏感染するウイルスを減少させるために、なるべく早期に抗ウイルスの全身投与を行う
・再活性化の場合は、抗ウイルス薬の投与は必須ではなく、他人への感染拡大防止、外観上の問題などで治療適応を検討する
・性器ヘルペスで年6回以上など再発が多い場合には再発抑制のために一年以上継続して内服させる場合がある
(ファムシクロビル)
単純疱疹に対して 250mgx3回/日 あるいは 1000mgx2回/日
Patient initiated therapy(PIT)頻回に繰り返す例で前駆症状が出現してから6時間以内に1000mgx、12時間後に再び1000mg(後発薬は保険適応外)

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参考文献)
1. 川口寧「単純ヘルペスウイルス(HSV)」ウイルス 第60 巻 第2 号,pp.187-196,2010
2. 猿田享男 監修「1252専門家による私の治療 2021-2022年度版: 単純疱疹 浅田秀夫 」日本医事新報社 2022.
3. 岡秀昭「感染症プラチナマニュアルver.8」メディカルサイエンスインターナショナル 2023
4. 大塚雄一郎 他「口腔・咽喉頭の単純ヘルペスウイルス初感染確実24例の検討」口 咽 科 2023; 36(2):145~152