発熱性好中球減少症

【定義】

    ・末梢血の好中球数が500/µL未満もしくは、48時間以内に500/µL未満になると予想される場合で、かつ38℃以上の発熱が1時間以上続くとき
    ・腋窩温37.5℃以上を目安とする(*2)
    ・原因として薬剤によるものが重要であり、特に化学療法の場合は内科的緊急症として対応すべき
    ・原因として薬剤によるものが重要であり、特に化学療法の場合は内科的緊急症として対応すべき
    ・化学療法剤以外では抗甲状腺薬、メトトレキサート、アロプリノールが重要
    ・しかしながら、NSAIDS、アセトアミノフェン、ほとんどの抗生剤や抗てんかん薬、H2阻害薬、抗不整脈薬などでも報告がある
    ・ウイルス感染により誘発される場合もあるが一過性の場合がほとんど
    ・固形癌の化学療法で10-50%、血液悪性腫瘍の化学療法で80%以上で生じる
    ・感染源は、腸管、肺、皮膚、カテーテル、口腔粘膜などが多いが、好中球減少のため強い炎症がおきにくく、感染部位がわかりにくい

    (起炎菌)
     グラム陽性菌 コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌、連鎖球菌
     グラム陰性菌 大腸菌、緑膿菌

    ・真菌が原因になることはまれ

【評価と診断】

    ・癌患者で化学療法中の患者についてはいくつかのリスク評価指標があり、低リスクであれば外来治療が可能とされている。しかし、非専門医であれば基本的に外来治療を選択するべきではないと考える
    ・参考までにMASCCスコアを示す
    ・薬剤性以外の好中球減少症については、明確な入院基準は示されていないができるだけ入院治療としたほうが安全だと考える
    ・薬剤性が否定でき、免疫不全状態がない場合は外来治療も可能と考える
MASCCスコア
免疫不全状態

【治療】

    ・緑膿菌感染は致命的なので、各種培養を行ったのちに、2時間以内に抗緑膿菌活性のある抗菌薬を開始する

    PIPC/TAZ 4.5g q6
    CFPM 2g q8
    MEPM 1g q8(敗血症性ショック、EBSKやAmpC産出菌の検出が多い施設)

    (外来治療)

    LVFX500mg/日 → 慎重な経過観察
    参考文献)
    1. 髙岸勝繁 他「ホスピタリストのための内科診療フローチャート第2版」シーニュ 2019
    2. 岡秀昭「感染症プラチナマニュアルver.8」メディカルサイエンスインターナショナル 2023
    3. 日本臨床腫瘍学会 「発熱性好中球減少症ガイドライン」 2023
    4. 杉田陽一郎 「研修医のための内科診療ことはじめ」羊土社 2022